第I部会(意匠)
■ デザイン学科だより
平成24年度デザイン学科長 デザイン科学専攻長 鈴木直人
卒業生の皆様におかれましては、東アジア諸国との緊張関係、進まない震災被災地の復興、明るい兆しが見えない経済状況など、心労が嵩む今日この頃であると想像いたします。当学科も、社会とのかかわりを強く意識し、社会の変化に対応するデザインを考える教育・研究活動を進めていますので、少なからず影響を受けているのが現状です。このような背景を念頭に置き、最近の学科の動向をご報告いたします。
国際交流・地域連携事業に関しては、本会報で別途詳しくお知らせいたしますが、工学部の中でも先駆的に国際化への対応を始めた当学科のグローバル人材の育成事業はアジア中心から世界展開へと広がっており、その流れは今後もさらに顕著になると思われます。地域の自治体、NPOとの地域連携事業は引き続き活発に展開しており、東日本大地震被災地との連携も見られるようになりました。宮城県名取市の仮設住宅の住民の方たちと一緒に行っている植物環境デザインがその実例の一つです。産学連携におきましては公表されていない研究も多々あるものの、デザインマネージメント、デザイン心理、人間生活工学、環境デザイン、デザイン文化計画の各研究室が積極的に企業・団体との共同研究を推進しています。最近では、日比野先生と先生ご自身で設立に係わられたべンチャー会社とダイキン工業㈱との共同研究で2012年度のグッドデザイン賞を受賞したニュースが注目を浴びました。
学生、教員の動向についてですが、今年度の新入生の男女学生比が29名対38名と初めて女性優位となりました。この傾向は修士課程の新入生にはまだ見られませんが、逆転する日も近いような気がします。また、修士課程への内部進学者は昨年で6割強。今年度は12月の留学生入学試験の結果次第ですが恐らく7割強になると予想され、学部から博士前期課程へと続く一貫教育への移行の兆しを垣間見る事ができます。製品デザインの4名の学生の作品がミシュラン・チャレンジデザイン2013で世界72カ国、900以上の応募の中から入選いたしました事は、多々ある学生たちの受賞実績の中でも特筆すべき出来事かと思います。教員数は現在客員の先生方を含めて27名です。22-23年度にかけて3名が教授に、2名が准教授に昇任された事は昨年ご報告いたしましたが、今年度から原寛道先生が准教授に昇任されました。さらに、蘆澤雄亮先生が特任助教から助教になられ、また園芸学部から助教として、永瀬彩子先生に新しい戦力として加わっていただきました。昇任・採用人事の多くは若手の先生方であり、今後のデザイン学科の発展を担っていく事でしょう。
最後になってしまいましたが、鈴木邁先生のお別れ会が今年5月に開催されました。先生の遺品の中から貴重な書籍を沢山ご寄付いただき、学生たちの学びの場に生かされています事をご報告いたします。